6月14日(金)放課後、理化学研究所 脳神経科学研究センター 副センター長の吉原良浩先生をお招きし、「魚の嗅覚警報物質発見」と題したSSセミナーを開催しました。
セミナーは「嗅覚:匂いを感じる脳の仕組み-魚が好きな匂いと嫌いな匂い-」をテーマとしたもので、魚類の鱗由来の警報物質を研究している高校2年生が吉原先生の研究を知り、ぜひお話を伺いたいとお願いしたところ、快くお引き受けいただき開催する運びとなりました。
生物分野の研究をしている生徒をはじめ多くの生徒がセミナーに参加し、約70名の生徒が先生の話に熱心にメモを取っていました。お話は嗅覚の基礎から最先端の脳科学の一端まで多岐にわたり、詳しい解説や先生の話しぶりも相まって科学の魅力が濃縮された時間となりました。受講後には生徒からの質問にも応じていただき、ここから将来の科学者が生まれそうな予感がするセミナーとなりました。

なお、今回のセミナー開催にあたり公益財団法人千里ライフサイエンス財団にも大変お世話になりました。改めてこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

受講生徒の感想

  • 魚なんて水の中なのに、においが分かるのかなと思っていたけれど、においによって危険が分かったり、求愛行動をしたりしていておどろきました。苦みがそんなに受容体が多いと知り、あまり感じていないつもりだったので、不思議な気がしました。脳とにおいの関係などに興味を持ちました。本当にありがとうございました。(中2)
  • 私はあまり鼻がいい方ではなく、興味もそんなになかったのですが、講演を聞いて、生物に少し興味を持ちました。匂いの役割やその原理、またその他の五感について知り、生物によっても違ったり、共通点もあったりして、とても驚きました。これからの生活でも今回の講演について少し意識してみようと思います。講演ありがとうございました。(中3)
  • 本日はご講演ありがとうございました。私は生物の行動に興味があり、2年前の自由研究では魚の色覚を調べる実験もしました。そのため今日の講座が本当におもしろく、自分だけではできない実験も見せていただけたため、とても勉強になりました。また、私は将来その研究をできる職業に就きたいと思っているので、その「科学者」になるプロセスを知れてさらに興味がわきました。来年から学校のカリキュラムとしての「課題研究」も始まるので、それに対しても一体どんなことをどうやって研究しようかと楽しみにしています。挑戦します!本当に、本当におもしろかったです。ありがとうございました。(中3)
  • 嗅覚は魚にとってとても重要な役割を担っていることが分かりました。嗅覚を上手に駆使することでさまざまな情報を得たり伝えたりしているような仕組みになっていておもしろかったです。特に、警報フェロモンを受容する仕組みは、2つの物質を同時に受けて認知しているのがおもしろかったです。ヒトの受容体の数は、嗅覚が圧倒的に多く、嗅覚はヒトや他の動物にとってとても大事な感覚だということが分かりました。(中3)
  • 嗅覚というのは視覚や聴覚より役に立たなそうなイメージがあったが、化学物質を感じ取ることは非常に重要であるのが分かった。単細胞生物にもそのような機構があることには驚いた。また、400種類の受容体で何千種類の化学物質を識別できるということがおもしろかった。(高1)
  • 魚の嗅覚について、何も知らなかったけれど、この講義で興味をもちました。脳に地図があることがすごく不思議だと思いました。自分が意識しないでいる動作一つ一つや感覚は、脳や感覚地図などから一つ一つ指示されていることだと思うと、生き物ってすごいなと思いました。(高1)
  • ご講演ありがとうございました。霊長類の嗅覚が退化していることは初めて知りました。ティラノサウルスの嗅覚が非常に発達しているのは非常に興味深かったです。個体の生存、種の保存のために魚の嗅覚があると聞いて。驚くと共に、非常に納得させられました。(高1)
  • 魚がどのような匂いをかぐのかや、匂いでとても大切なことを探知しているということ、また、生き物がどのように匂いを探知しているのかなど、知らないことがとても多くておもしろかったです。時に、ねずみのヒゲ一本一本ぞれぞれに対応した脳の部分があるのがすごいなと思いました。ありがとうございました。(高1)
  • 本日はとても興味深いご講演ありがとうございました。私たちも現在、理数探究の研究でゼブラフィッシュの警報物質に関する実験をしていたので、とてもタイムリーで参考になりました。(高2)
  • 嗅覚に関する本を読んだ時に魚の嗅覚はどんな仕組みなんだろうという疑問があったので、今回のテーマにちょうど当てはまっていて、おもしろかったです。嗅球が見つかっている中で最大の生物がティラノサウルスだということに関して、嗅球の働きの評価が脳に対する大きさで判断できるのか、絶対的な大きさで評価できるのか、種によって仕組みに差があるのかを疑問に思いました。(高2)
  • 私たちには挑戦する心構えが大切だと心から思いました。また、私は一人でいることが好きですが、人との縁が自分の人生を変えることがあるので、これから大切にしていこうと思います。(高2)
  • 警報物質の話で、つりのえさとか、外来魚の駆除とかに役立つかもしれないということで、一見すると、人の役に立つようなことではないことを研究していたとしても、人につながっているんだなあと思いました。今、授業でやっている研究が人につながるかは分からないけれど、いつか役に立っているとうれしいなあと思います。(高2)
  • ゼブラフィッシュにとっての嗅覚は人間とは少し違って餌だけでなく、交際相手を見つけることや危険を回避することにも利用されていて、個体や種の生存にとってとても大切な役割を担っていることを興味深く感じました。また、他の研究者たちが一つの物質に注目していたのを、2つの物質に注目することで結果を得られたとおっしゃっていて、そのような他の人とは異なった考え方や視点で物事を捉えるということが研究を行う上で大切なのではないかと思いました。そして、生物は、まだまだ自分の知らない奥深い機能を持っているということをとても強く感じ、少しでもそれが解明できるよう、課題研究をしていきたいと思います。すばらしい講演を本当にありがとうございます。(高2)

 

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