本日、第21回目となるGAコースのグローバルセミナーを開催しました。講師は京都大学大学院医学研究科博士課程在籍でコンゴ民主共和国出身のSerge Mizerero医師で、演題は”Global Agendas and Challenges Related to Maternal and Child Health(母子保健に関する世界の課題)”でした。キンシャサ大学医学部を卒業後、産婦人科医師として勤務、その後来日され、現在は京大の社会健康医学系専攻に在籍、まもなく博士号を取得されるとのことでした。今回のセミナーのために先生は68枚ものスライドをご準備下さいました。前半はさながらGlobal Health入門講座でした。

 ご存じのように、国際社会では2015年以降の新たな開発目標「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」が2015年9月の国連サミットで合意され、現在、国内でもこの実現に向け、様々な取り組みが行われています。この前身は、2000年9月、ニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された「国連ミレニアム宣言」と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標をまとめた「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)」です。

 今回のセミナーでは、サハラ以南のアフリカ諸国が、母子保健の分野(5歳未満児死亡率、妊産婦死亡率)でMDGsの目標が依然達成されていないことをデータに基づいて説明され、これに取り組むことの必要性を訴えられました。

 ともすれば、現在のSDGsに目が行きがちですが、コンゴ出身の産婦人科医である先生のお話から、MDGsで残された課題について考えさせられる重要な機会となりました。本セミナーは本校のSGH(スーパーグローバルハイスクール)事業の中軸であり、英語でダイレクトに世界の現状を知ることができ、生徒のみならず教員にとっても気づかされるところが多く、バランスのとれたグローバルマインドの習得に役立つものと確信しています。

 将来は、当然、母国に戻って医療の向上に尽くすつもりだとおっしゃった先生の眼光に、国境を越えて大切な価値観を共有できた思いがしました。